あなたと運命の番になる
蘭はゆっくりと目を開けた。
常夜灯のみついた部屋を見渡す。

どれくらい寝たのだろうか。
寝る時はまだ外に少し光があったから。

今回のヒートは特にしんどい。
正直何時に起きて、何時に寝たのかもよく分からない。ヒートの症状に耐え、落ち着いた時に寝る。時間によって寝るというより、ヒートによって寝てるという感じだ。
疼きがなかなか治まらず、時折和真が目に浮かんで、会いたくて仕方なくなる。
どうしようもない、もっていきかたの分からないこの気持ちにひたすら耐える。
瞳や真由のおかげで少し楽になるが、辛いものは辛い。

耐えても耐えても治まらない症状にだんだん心が弱っていく。

カチャッとドアが開く音がする。

静かに入ってくる瞳と目が合う。

「蘭ちゃん、体調どう?」

心配そうに聞く瞳に蘭は答える。

「今は落ち着いてます。ありがとうございます。」

「そっか。よかった。」

顔つきも今は落ち着いているようで瞳は少し安心する。

「お水とか飲めそう?」

「はい。」

蘭はコップを受け取り、1口飲む。
あまり多くは飲めないが、疲れた体にしみる。

「蘭ちゃん、私の思い出話でも聞いてもらっていい?」

「もちろんです。」

瞳にはかなりお世話になっている。いつも優しく、嫌な顔ひとつせず介抱してくれる瞳には感謝してもしきれない。瞳から自分の話をされたことはほとんどないから、なんの話しかと楽しみになる。
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