あなたと運命の番になる
「蘭ちゃんの体調どうですか?」

和真は心配そうに拓也に聞く。

「あまり体調は良くないですね。薬も強めのを使ってもなかなか効かなくて。副作用も出てて苦しんでいる状態です。」

「・・・そうですか。」

和真は呟いた。

「じゃあ食事とかもあまり取れてないんですよね?」

「そうですね。吐き気が強いようで全然食べれてないです。水分は少しならとれるんですが。点滴で栄養いれてる状態です。」

和真は想像以上に蘭の体調が良くないことを理解する。

「抑制剤飲んだら、1-2時間そばにいられるんですよね。何をしてあげたら、蘭ちゃんは楽になりますか?」

和真はたずねる。
蘭は男性に対して恐怖心があるし、そんなしんどい状態ならどこまで触れてもいいのか分からない。

「大黒さんのペースに合わせて、寄り添ってあげたらいいと思います。手を握るなど簡単な触れ合いからはじめてください。大黒さんは自分から色々要求してくるタイプではないと思いますが、あなたといると本能的に疼いてくると思います。そしたら、大黒さんに触れて、楽にしてあげて下さい。」

拓也の発言に少し驚く。
「あっでも、怖がりませんか?蘭ちゃんは男性に対して抵抗があるようですし、そういうことだって未経験のはずです。そこまで触って大丈夫ですか?」

「今の大黒さんのヒートはあなたに触られたら求めてしまうと思います。なので優しく受け止めてあげてください。」

和真は想像以上で少し不安になる。いくら薬を飲んだからといって、蘭のそういう姿を見て、匂いにあてられて理性を保てるだろうか。

「山城さん。薬を飲んでいれば基本匂いは感じません。ただ、山城さんにとってもしんどいとは思います。なにか異変があれば部屋から出てきてください。あと30分ごとにノックします。ドアを開けろとは言いませんから、応答してください。応答がなければ入室します。
あと匂いを感じるようになったり倦怠感がでてきたら、部屋から出てください。薬の効果がきれはじめています。大黒さんがまだしんどい状態であったとしてもです。無理してしまうと最悪理性を飛ばして、怖がらせてしまうことになりますから。お願いします。」

「わかりました。」

和真はそう言って頷いた。

拓也は和真に薬を渡す。

「これを飲んで5分後には匂いを全く感じなくると思います。入室前に少しドアを開けて匂いを感じなければそのまま入ってもらいます。」

「わかりました。」
和真はそう言って、薬を飲んだ。
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