あなたと運命の番になる
蘭は瞳と一緒にいた。
和真と会うと決意したものの、不安がつのる。

「蘭ちゃん、大丈夫よ!流れに身を任せたら案外上手くいくものだから。ねっ!」

瞳は優しく声をかけるが蘭はなかなか落ち着かない。

「嫌われませんかね?気持ち悪いって思われませんかね・・・。」

蘭は心配で泣きそうになる。

「こんなかわいい蘭ちゃんのことをそんなふうに思わないわよ。大丈夫よ。」

震える蘭を瞳が優しく抱きしめる。

Ωとして生きていたら自分に自信をなくしてしまうことはある。蘭が辛い思いをしてきたのは容易に想像出来た。それに蘭は襲われた過去がある。いくら好きな相手だったとしても恐怖心もあるだろう。

コンコンと部屋をノックする音がする。

拓也が部屋に入ってきた。

「蘭ちゃん、今から山城さんに入ってもらうね。」

「やっぱり無理です。会えないです・・。」

拓也の言葉を聞いて、ついに来たかといっきに心臓がバクバクする。そしていろんな感情がいじ混ざり、少し混乱してしまう。

「蘭ちゃん、落ち着いて。大丈夫だから。
山城さんとお話したけど、素敵な人だね。蘭ちゃんのことをすごく大切に思ってることが伝わったよ。
だからあと少しだけ勇気出したみよう。
もし怖いこととかあれば、このボタンを押して。必ず駆けつけるから。」

拓也はそう言って、蘭の首に小さなブレスレットをかけた。もし和真が理性を飛ばしてしまって、蘭が怖くなったら、すぐ呼べるように渡した。

「ありがとうございます。」

「じゃあ呼ぶね。」
拓也はそう言って、和真を迎え入れた。
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