あなたと運命の番になる
警察の人間が増える。

蘭は恐怖が頭をさえぎり、震える。
まだ寒い季節であり、和真は自分が着ていたコートを蘭にかける。

「蘭、大丈夫だ。無事でよかった。」

和真は背中をさすりながら話す。

「和真さんが寒くなっちゃいます。」

こんな状況でも相手を気づかおうとする蘭に胸が熱くなる。

「俺は大丈夫だから。今は蘭の体が大切だ。」

和真はそう言って押しきる。蘭もさすがに諦めたようだった。

コートから和真の匂いがする。和真に包まれているような安心感が蘭の心に少しずつ灯りをともした。

救急隊の人が蘭の前にやってくる。蘭の不安そうな目を見て、和真がにっこり微笑む。

「大丈夫だよ。俺も一緒に行くから。」

そう言って、蘭を抱き上げて、救急車に乗った。
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