あなたと運命の番になる
「大黒さん、残業申請書けました?」

工場長の部屋に行った3日後の昼飯前に和真は声をかけた。

「はい。」

そう言って、蘭は書いた7枚の申請書を見せた。

「えっこれだけですか??今までの全てですよ。」

今までに7回しか残業していないなんて、ありえない。
蘭の様子や工場長の雰囲気からも頻繁にある様子だった。

「もっとやってきましたけど、日時や何時まで働いたのか具体的なことを覚えていなくて・・・。
最近の明確な分だけ記入しました。」

和真は目を見開く。
蘭の真面目な性格が垣間見える。
散々冷たくされてきたのだから、多少違っていても、大量の申請書を書いてお金をもぎとってやろうくらいに思えば良い。
俺なら間違いなくそうしてる。
けれど、そんなことはしない蘭の良心に胸が打たれる。

「大黒さんは、素敵な人ですね。ですが、こんなけの申請書しか提出しないなんて、私が納得できません。すみませんが今日の仕事の後、少しお時間ありますか?その間は仕事ではないので、残業手当は申請出来ないんですけど・・・。悪いようにはしませんから。」

「あっはい。時間はありますけど・・・。」

「じゃあ仕事の後、よろしくお願いします。」

和真はそう言って、作業場を離れた。
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