あなたと運命の番になる
翌日の昼休みになる。
休憩室でやると変に思われそうなので、工場の隣にある公園のベンチに座る。
蘭は昨日、和真がくれたコンベアの稼働日と出勤日を照らし合わせた。和真の言っていた通り、コンベアの稼働日は全て蘭が出勤していた日だった。
和真は自分のパソコンを開いて、蘭の残業申請を入力する。
Excelとアプリを駆使してあっという間に完成した。
「出来ました。工場長は午前中、外仕事でまだ帰っていなさそうなので、もう少ししてから行きましょうか。」
和真はそう言って持ってきていたゼリー飲料を飲む。
和真の昼食は今日もゼリー飲料だけだ。
残業手当もできたし、飲みながら、本来の自分の仕事をする。
「ありがとうございます。」
蘭は隣に座って、和真がやってるパソコンをちらっと見る。プライバシーだし一瞬しか画面は見ていないが、なんやら、たくさんの文字が打ち込まれていた。
これはこの工場での仕事ではないよなと思う。
「谷本さんはこの工場の仕事以外もされてるんですか?
あっ・・・すみません。深入りしたこと聞きました。」
蘭はあわてて謝る。
ただの同僚の自分が聞きすぎた。
和真にだって色々事情があるのだろう。聞かれたくない事だったらどうしようかと焦る。
「あっこれですか?前の職場の引き継ぎ終わってないところあって、やってるんです。」
和真はそう言ってパソコンを閉じる。
別に蘭に見られたら不味い内容を入力していたわけじゃないが、隣で仕事されてたら嫌だよなと思う。
「仕事していただいて大丈夫ですよ。私、公園の中お散歩してきます!」
蘭はそう言って食べていたおにぎりを鞄にしまい、バッグを持ってあわてて立ち上がる。
「待ってください。
急ぎの仕事ってわけではないです。せっかくですし、今日は私もゆっくりします。」
呼び止められ、蘭は再び座る。
少しの沈黙の時間が流れる。
いい言葉はないかと蘭は頭をフル回転させるが、なかなか思いつかない。
「コンベアの稼働日と勤怠表見比べるの疲れなかったですか?ああいうの目がこっちゃいますよね。」
気まずそうにする蘭に和真は笑顔で話しかける。
「はい。でも残業手当でるんだと思うと嬉しくて出来ちゃいました。」
「手当でたら、何か買うものとか決めてるんですか?」
嬉しそうに話す蘭に和真は聞く。
「ちょっといいお肉でも買って、母と食べようかなって!」
「いいですね!お母さんも喜ばれると思います。」
蘭の優しいエピソードに和真の頬がゆるむ。きっと仲良し母娘なんだろうなと想像できた。
蘭はおにぎりを食べながら話す。
今日は残業手当を入力してもらったり、工場長の所に行くのでゆっくりお弁当を食べる時間はないだろうと思い、手軽に食べれるおにぎりを作ってきた。
鮭、おかか、梅と3種類ある。
「あの、谷本さんはゼリー飲料だけですか?」
「はい、いつもこんな感じです。」
蘭は驚く。
和真の体に対して食べてる量が少なすぎる。
「お腹すきませんか?
よかったら、おにぎり1ついりますか?
私いま、おかか食べてるので、鮭か梅味しかないんですけど・・・。」
蘭のお弁当袋に大きめのおにぎりがまだ2つ入っていた。蘭は細いがよく食べる。
ヒートで体調崩してしまうことも多いので、食べれる時はしっかり食べることを心がけている。
「いちよう、ラップを使って握ったので、汚くはないと思うんですけど・・・。」
もしかして人が握ったものは苦手なタイプかもしれない。そう思い、蘭は慌てて伝える。
「大黒さんの分がなくなっちゃいますよ。」
「私は2つ食べたら充分です。よかったらどうぞ。」
蘭に勧められて、和真は選ぶ。
和真は潔癖ではないので、握り方なんてさほど気にならない。
綺麗な三角形のおにぎりの梅味を手に取った。
「ありがとうございます。ではいただきます。」
和真はそう言って1口食べる。
塩味のきいたごはんに少し酸っぱさのある梅が美味しい。
人が握ったおにぎりなんていつぶりだろうか。
長く一人暮らしをしている和真には手作りおにぎりの優しい味が懐かしく感じる。
「美味しいです。」
和真のむしゃむしゃ頬張る姿に蘭は嬉しくなる。
和真はあっという間に完食した。
いつもよりお腹も心も満たされて、いい昼休みだなと思う。
2人は工場長の所へ行く。
工場長は和真の顔を見るやいなや、残業申請をすべて受領する。
来月に手当が支給されると聞き、蘭は楽しみになった。
休憩室でやると変に思われそうなので、工場の隣にある公園のベンチに座る。
蘭は昨日、和真がくれたコンベアの稼働日と出勤日を照らし合わせた。和真の言っていた通り、コンベアの稼働日は全て蘭が出勤していた日だった。
和真は自分のパソコンを開いて、蘭の残業申請を入力する。
Excelとアプリを駆使してあっという間に完成した。
「出来ました。工場長は午前中、外仕事でまだ帰っていなさそうなので、もう少ししてから行きましょうか。」
和真はそう言って持ってきていたゼリー飲料を飲む。
和真の昼食は今日もゼリー飲料だけだ。
残業手当もできたし、飲みながら、本来の自分の仕事をする。
「ありがとうございます。」
蘭は隣に座って、和真がやってるパソコンをちらっと見る。プライバシーだし一瞬しか画面は見ていないが、なんやら、たくさんの文字が打ち込まれていた。
これはこの工場での仕事ではないよなと思う。
「谷本さんはこの工場の仕事以外もされてるんですか?
あっ・・・すみません。深入りしたこと聞きました。」
蘭はあわてて謝る。
ただの同僚の自分が聞きすぎた。
和真にだって色々事情があるのだろう。聞かれたくない事だったらどうしようかと焦る。
「あっこれですか?前の職場の引き継ぎ終わってないところあって、やってるんです。」
和真はそう言ってパソコンを閉じる。
別に蘭に見られたら不味い内容を入力していたわけじゃないが、隣で仕事されてたら嫌だよなと思う。
「仕事していただいて大丈夫ですよ。私、公園の中お散歩してきます!」
蘭はそう言って食べていたおにぎりを鞄にしまい、バッグを持ってあわてて立ち上がる。
「待ってください。
急ぎの仕事ってわけではないです。せっかくですし、今日は私もゆっくりします。」
呼び止められ、蘭は再び座る。
少しの沈黙の時間が流れる。
いい言葉はないかと蘭は頭をフル回転させるが、なかなか思いつかない。
「コンベアの稼働日と勤怠表見比べるの疲れなかったですか?ああいうの目がこっちゃいますよね。」
気まずそうにする蘭に和真は笑顔で話しかける。
「はい。でも残業手当でるんだと思うと嬉しくて出来ちゃいました。」
「手当でたら、何か買うものとか決めてるんですか?」
嬉しそうに話す蘭に和真は聞く。
「ちょっといいお肉でも買って、母と食べようかなって!」
「いいですね!お母さんも喜ばれると思います。」
蘭の優しいエピソードに和真の頬がゆるむ。きっと仲良し母娘なんだろうなと想像できた。
蘭はおにぎりを食べながら話す。
今日は残業手当を入力してもらったり、工場長の所に行くのでゆっくりお弁当を食べる時間はないだろうと思い、手軽に食べれるおにぎりを作ってきた。
鮭、おかか、梅と3種類ある。
「あの、谷本さんはゼリー飲料だけですか?」
「はい、いつもこんな感じです。」
蘭は驚く。
和真の体に対して食べてる量が少なすぎる。
「お腹すきませんか?
よかったら、おにぎり1ついりますか?
私いま、おかか食べてるので、鮭か梅味しかないんですけど・・・。」
蘭のお弁当袋に大きめのおにぎりがまだ2つ入っていた。蘭は細いがよく食べる。
ヒートで体調崩してしまうことも多いので、食べれる時はしっかり食べることを心がけている。
「いちよう、ラップを使って握ったので、汚くはないと思うんですけど・・・。」
もしかして人が握ったものは苦手なタイプかもしれない。そう思い、蘭は慌てて伝える。
「大黒さんの分がなくなっちゃいますよ。」
「私は2つ食べたら充分です。よかったらどうぞ。」
蘭に勧められて、和真は選ぶ。
和真は潔癖ではないので、握り方なんてさほど気にならない。
綺麗な三角形のおにぎりの梅味を手に取った。
「ありがとうございます。ではいただきます。」
和真はそう言って1口食べる。
塩味のきいたごはんに少し酸っぱさのある梅が美味しい。
人が握ったおにぎりなんていつぶりだろうか。
長く一人暮らしをしている和真には手作りおにぎりの優しい味が懐かしく感じる。
「美味しいです。」
和真のむしゃむしゃ頬張る姿に蘭は嬉しくなる。
和真はあっという間に完食した。
いつもよりお腹も心も満たされて、いい昼休みだなと思う。
2人は工場長の所へ行く。
工場長は和真の顔を見るやいなや、残業申請をすべて受領する。
来月に手当が支給されると聞き、蘭は楽しみになった。