あなたと運命の番になる
22時をまわり、お開きとなる。

「楽しかったですわ!
来週からもまたよろしくー。」

酔っ払い同士、声をかけあっている。

蘭も初めは緊張したものの、みんなの会話が面白く、思ったより楽しかった。

「大黒さんはかわいいね。
ずっとニコニコしてるもんな。」

「ほんとに。
仕事も真面目やし、これからもよろしくな。
なにかあればおじさんに言ってー。」

蘭は優しい言葉に嬉しくなる。
職場の人との距離が縮まった気がした。

「ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします!」

蘭も少し酔っているので、声をいつもより大きくしてにこにこと話す。

「大黒さんはかわいいなー。」

そう言って、1人の男性が蘭の肩を組んできた。
田中と田所は会計をしており、今はいない。
変な気持ちがある訳じゃないことはわかっている。仲良くなったし、お酒の流れみたいなものだろう。
ここで嫌だと言えば、せっかくのいい雰囲気を壊してしまう。
蘭は固まったまま動けず、体が少し震える。
酔っているため、男性は気づかない。


「酔っ払ってますよ!!!
女の子にべたべたしたら、令和時代は捕まっちゃいますよ笑」

突然、手を引かれた。
体が男性から瞬時に離れる。

和真はおふざけがすぎますよ!と言っている。
昭和時代が抜けないなど言って年配の人同士盛り上がる。
和真は決して空気を悪くすることなく、笑顔でいるが、全く目が笑っていない。

蘭の震える手を強く握る。
和真の温かい手が蘭を安心させる。


田中と田所が支払いを終えて、帰ってきた。
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