ならば、悪女になりましょう~亡き者にした令嬢からやり返される気分はいかがですか?~(試し読み)
「おはよう、ノクス。今日一日よろしくお願いするわね」
「いらっしゃいませ、お嬢様。支度はこちらに」

 ノクスは、もうすぐ三十歳。働き盛りだ。
 そして、アウレリアが今入ったのは、ノクス商会の持つ商店のひとつ、宝飾品を商う店だった。『リアーネ』と名付けられたこの店は、近頃若い女性に人気の店だ。
 店の奥では安価な装身具や、リボン、ハンカチといった雑貨を陳列している。いずれもノクス商会専属契約の職人が作ったものか、大陸中の国々から輸入してきた品々だ。
 ここに来れば、他の人とは少し違うものが手に入ると、お洒落に敏感な女性達がこの店に集まってくる。

 店の作り的には平民向けなのだが、価格帯は少し高めで客層の中心は裕福な若者。貴族達もひそかにこの店を訪れる。
 従業員は男女とも見目麗しい者に限られていており、彼らのアドバイスを受けながら買い物ができるのも売りだ。
 そして、別料金で店の二階にある個室を借りた場合、お茶と茶菓子が提供され、店の従業員が商品を室内まで運んでくる。
 従業員達は、客と対話しながら、似合いそうなもの、おすすめのもの等を選ぶ。

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