ならば、悪女になりましょう~亡き者にした令嬢からやり返される気分はいかがですか?~(試し読み)
 クラーラの差し出したリボンは、ブドウ色のもの。たしかに、リリアンの肌の色には合わないかもしれないが、髪の色にはとても合う。

「エミリー嬢がそう言うのなら……そうねえ、クリスタルと合わせて髪飾りにしたら、素敵だと思う?」
「ええ、お似合いですわ!」

 クラーラが必死に自分の失態を挽回しようとする。

(……ふたりも大変ね。リリアンの機嫌を取らないといけないのだもの)

 よけいな口をはさまない従業員のふりをして、アウレリアは三人の会話を聞いていた。
 三人の関係はたんなる友情ではなく、明らかに上下関係がある。
 侯爵家の娘であるリリアンと、家のためにリリアンとのつながりを切るわけにはいかないクラーラとエミリー。

 貴族社会ではあちこちでこういう関係は見られるから、別に珍しいものでもない。特に、ふたりの家は、デュモン侯爵家の繁栄から大きな恩恵を受けている。両家の親も、娘にリリアンの機嫌を取るようにと言い聞かせているのだろう。
 結局、アウレリアが側にいるのに気づかないまま、三人は機嫌よく買い物を終えて帰っていった。

「……まさか、まったく気づかないとは思ってもいませんでしたよ」
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