ならば、悪女になりましょう~亡き者にした令嬢からやり返される気分はいかがですか?~(試し読み)
「ああいう人達は、自分の見たいものしか見ないのよ」

 見送りに出たノクスが呆れたように言うのに、アウレリアは笑って返す。
 一瞬ひやりとしたけれど、本当に気づかれなかった。終わってしまえば、笑い話だ。

「あれが貴族ってあなたもわかっているでしょうに」
「ですが、リリアン様とは仮にもご姉妹ですのに……」

 接客をしていたノクスも、当然リリアン達の口にした悪口をさんざん聞かされていた。思い出したのか、渋い顔だ。

「私のことを姉と思ったことなんて、一度もないでしょうね」

 父から疎まれているアウレリア。父に、そして継母に溺愛されているリリアン。
 リリアンの目からしたら、アウレリアなんて大切な家族の中に割り込んできた異分子でしかない。最上級の評価でせいぜい居候だ。

「……そうね、いつかはあの家を出たいと思っているけれど」

 王子妃になんてなりたくない。早くフィリオスが、破談にしてくれればいいのに。
 リリアン達を見送ったあとも、アウレリアは忙しい。ミアとして店に立ち、顧客の興味がどこに向いているのかを自分の目で確認する。
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