ならば、悪女になりましょう~亡き者にした令嬢からやり返される気分はいかがですか?~(試し読み)
 この店で商っているレースの中にはベリアンド王国からの輸入品も多いが、ノクス商会の専属職人が考案した図案で織ったレースは、ベリアンド王国では珍しいだろう。
 本来は使われない小粒の宝石をたくさん集めて作られた装身具も。

「ミア、説明を頼むよ」
「かしこまりました」

 ノクスが挨拶を終えるのを待ち、アウレリアは従業員が運んできたトレイを並べた。

「どのようなお品をお求めでしょう?」
「ノクス商会では、専属職人を雇っていると聞いている。まずは、髪飾りを見たい。先程も言ったが、贈るのは、十三の貴族の娘だ」
「かしこまりました」

 手袋をはめた手で、いくつかの商品を選ぶ。
 普段使いにちょうどいい銀の髪飾りには繊細な彫刻が施されている。それぞれ、小さなアメジストやローズクォーツ、ガーネット等がはめ込まれていて、好みに合わせて選べるようになっていた。

「それはなんだ?」

 緑色の石がはめ込まれた髪飾りを見て、エルドリックが問う。

「こちらは、海の向こう側から運ばれてきた翡(ひ)翠(すい)です。あちらの大陸では、幸運を運ぶ石として愛されているそうですよ」

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