傷心女子は極上ライフセーバーの蜜愛で甘くとろける
そうして一週間が過ぎた頃。
いつものように仕事を終えた凪が、気怠い足取りで自宅マンションに続く狭い路地を歩いていた時だった。
エントランスのガラス扉の横に誰かが立っていた。
外壁にもたれるようにして立つ彼のアンニュイな横顔が橙色をした外灯の光に照らされていて、凪は思わず足を止めた。
(な、んで……)
それまで路地に反響していたヒールの音がぴたりと止み、辺りはひっそりとした沈黙に包まれる。それを不審に思ったのか、彼が顔を上げた。
「凪っ……!」
焦燥をはらんだ咆哮が、薄暗い路地に響き渡る。
凪は弾かれたように踵を返して走り出した。
まだいくらも走っていないのに息が苦しい。カン、カン、と地面にヒールを打ち付ける鋭い音が鼓膜を突き刺す。
どうしよう。どうして。どこに逃げよう。どうしたらいい?
ぐちゃぐちゃに入り乱れた思考を整理できないまま、ただひたすらに走る。
だが丁字路に差し掛かったところで、迷いが凪の足を止めた。ダランと下げた左手を後ろから強く掴まれる。
振り返ると白のTシャツにネイビーのチノパンを身につけた漣が、肩で息をしながら凪を見下ろしていた。
いつものように仕事を終えた凪が、気怠い足取りで自宅マンションに続く狭い路地を歩いていた時だった。
エントランスのガラス扉の横に誰かが立っていた。
外壁にもたれるようにして立つ彼のアンニュイな横顔が橙色をした外灯の光に照らされていて、凪は思わず足を止めた。
(な、んで……)
それまで路地に反響していたヒールの音がぴたりと止み、辺りはひっそりとした沈黙に包まれる。それを不審に思ったのか、彼が顔を上げた。
「凪っ……!」
焦燥をはらんだ咆哮が、薄暗い路地に響き渡る。
凪は弾かれたように踵を返して走り出した。
まだいくらも走っていないのに息が苦しい。カン、カン、と地面にヒールを打ち付ける鋭い音が鼓膜を突き刺す。
どうしよう。どうして。どこに逃げよう。どうしたらいい?
ぐちゃぐちゃに入り乱れた思考を整理できないまま、ただひたすらに走る。
だが丁字路に差し掛かったところで、迷いが凪の足を止めた。ダランと下げた左手を後ろから強く掴まれる。
振り返ると白のTシャツにネイビーのチノパンを身につけた漣が、肩で息をしながら凪を見下ろしていた。