傷心女子は極上ライフセーバーの蜜愛で甘くとろける
 一体自分たちはどこからすれ違ってしまったんだろう。
 
 付き合い始めた当初はこんな風に別れるだなんて思いもしなかった。

 元々二人は仕事上のパートナーだった。
 勤め先であるシステムインテグレーターで、凪はシステム導入を提案する営業、周吾は営業に同行するシステムエンジニアとして、いつも行動を共にしていた。
 公私共にベストパートナーと、そう思っていた。

(でも最近は違ったのかも……)

 きっかけは半年前、周吾が部署異動をしてからだった。
 まず会う頻度が激減した。お互い残業が多く、些細な連絡すら取れずにいた。
 たまに会っても目新しい会話はなく、一緒にいる時も沈黙が増えて――いろんなことで水増しされて、付き合いたての頃より好きの気持ちが薄まっていた気はする。

 時間の問題だったのかもしれない。
 でも、暴言を吐かれた上に裏切られ、徹底的に打ちのめされたせいで、仕方ないと割り切ることはまだ難しい。

 そんな中、プルメリアリゾートにやってきたのは気分転換も兼ねてだった。キャンセル料が発生してしまうのでもったいなかったというのもある。

 一人でも楽しめれば……そう思って来てみたけれど、今はその選択を猛烈に後悔していた。
 右を見ても左を見てもカップルやファミリーだらけ。ぼっちの凪には辛すぎる。おまけにクスクス笑いと好奇な目に晒されて、もう死に体だった。
 今すぐこの場から逃げ出したい。が、ホテルのチェックイン時間まではまだかなり時間があるので逃げ場所がない。
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