傷心女子は極上ライフセーバーの蜜愛で甘くとろける
「よかったら俺たちと一緒に遊ばな〜い?これから向こうでバーベキューもやるんだ〜一緒に食べよーよ!お姉さん、めちゃくちゃ美人だから大かんげーい!」
「いえ、結構です」

 こんなところでナンパ……と凪は心の中で舌打ちする。ついでに不機嫌顔も隠さない。なにしろまだ心はささくれ立っているので。
 明らかに有害そうなナンパ野郎にかける優しさなど一ミリもなかった。
 
「そんなこと言わずにさ〜。黒毛和牛と伊勢海老もあるよ。お姉さん、一人じゃバーベキューなんてできないっしょ?一人寂しくぼっち飯とかここに来てありえねーしさ〜それなら俺らと一緒のがよくな〜い?」
「ほら、一緒に楽しいことしよーよ」
「キモチイイこともさ〜」

 何も面白くないのにギャハギャハと笑い出すチャラ男たちに、凪の額に青筋が浮かんだ。
 苛立ちが頂点に達して、凪はチャラ男を完全に無視して海へ入っていく。

「あっ、ちょっ、待てよ!」
「無視してんじゃねーって!」

 早くもガラの悪い本性を出し始めたチャラ男が凪の腕を強引に引く。
 その時、凪は視線を沖の方へと向けていた。

「テメェ、なにすんだよ!」

 バシッと男の手を払いのける。
 荒ぶった男の声はもう耳に入らなかった。
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