『後姿のピアニスト』 ~辛くて、切なくて、 でも、明日への希望に満ちていた~ 【新編集版】
 食べ終わって少し経った頃、照明が落とされ、ミュージシャンが登場した。
 拍手の中、それぞれが手を上げてステージに上がると、更に拍手が大きくなった。
 
 男性二人と女性一人が所定に位置に着いた。
 ドラマーは大柄なスキンヘッドで、ベーシストは神経質そうな短髪。どちらも50代くらいに見えた。
 ピアノとヴォーカル担当の女性はまだ若そうで、30代前半と思われた。腰までありそうな黒い長髪が東洋系の雰囲気を漂わせていた。
 
 ピアニストがドラマーに目配せをし、ドラマーがベーシストと目を合わせた瞬間、演奏が始まった。大好きな曲だった。『´S WONDERFUL』。ガーシュイン兄弟が作詞作曲した名曲。1927年にミュージカルのために書き下ろした曲だが、その後多くの歌手がカバーした彼らの代表曲。『ラプソディ・イン・ブルー』で有名なガーシュインだが、彼が作曲したバラードナンバーは本当に素晴らしい。それに、ボサノヴァ風にアレンジした演奏がとても心地良い。
 ピアニストのセンスだろうか? 
 次の曲への期待が一気に高まった。

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