過去夢の少女
オモチャを買ってもらうのはクリスマスのときだけだった気がする。
その日だけはお母さんも頑張って奮発してくれていたのだと思う。

「でも私は我慢してたわけじゃないから、お母さんが気にする必要ないよ?」
その言葉に少し驚いたように目を丸くして、そして微笑んだ。

「わかってるわ。ほら、沢山食べなさい」
お母さんに促されて私はまた箸を手にしたのだった。
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