さようなら
私のお友達
「日が長くなったよね〜」


「そうだね。桜の咲く季節が

やってきたね」


「綾香、今度お花見行こうよ」


「いいね〜!行こう行こう!」


「それじゃあ、明日ね」


「バイバイ」



三月も後半になり、

大分暖かくなってきた。


日も延びてきたので嬉しい。


私は部活をやっているので、

帰りが遅くなる。


駅からは自転車で帰るのだが、

冬は暗くて怖い。


神奈川だけど田舎の方だから、

街灯も少ない。


だから、春が来てくれて

ありがたい。




「あ、あそこの街灯、

やっと新しくしたんだ。


付け替えるなら、もっと早く

替えて欲しいよ。


日が延びてきてからじゃ

遅いって」



私は文句を言いながら、

自転車を漕いだ。



「ミャー」


「キキー!!」


私は慌てブレーキを握った。


「今の声…」


私は耳をすました。


「ミャー」


私は振り向いた。


「ガサガサ!!」


木の間を駆け抜けて行った。


私は自転車を倒し、急いで

その方向へ走った。


「ミャー」


木の向こう側から、こっちを

見ている。


街灯がないので暗くて

良く見えない。


私は目を凝らして見た。


「あれは… ミーちゃん…」


次の瞬間、その猫は逃げて行った。


「あれは確かにミーちゃん…」


あれは確かにミーちゃんに

見えた。


ミルク色の毛、右目の周りだけ

茶色くなっている。


ミーちゃんに間違いない!



私は自転車に乗り、急いで

家に帰った。



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