クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「そろそろ来るね」


「う、うん」


「ドキドキするよー」


いろんな声が耳に入り込んでくる。
これだけの期待を集める人物に会えるのかと思うと、否が応でも気になってしまう。


「うわぁ!!」


「嘘……」


「ちょっと、想像を超えた」


全身を高級感溢れる細身のスーツに身を包み、眩いばかりのキラキラオーラをまとった男性が、オフィスのドアから颯爽と現れた。


私はその瞬間、心臓が止まる程の衝撃を受け、どうしようもなく動揺した。


だって、そこにいたのは、昨夜出会ったばかりの「桐生さん」だったから――


「皆さん、はじめまして。桐生 拓弥です」


「なぜここにいるの?」と、何度も自分に投げかける。心音はどんどん大きくなり、このまま床に倒れ込んでしまわないか心配になった。


もちろん、周りの女性達も、自己紹介する新しい課長を食い入るように見て目を輝かせている。
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