クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「……ごめん」


「まあ、いいよ。詩穂と桐生課長が付き合うとか、絶対に無理だし」


瑠香のキツイ表情と、ハッキリ否定する言葉に、気持ちが一気に落ちる。


「……うん。わかってる。無理なのはわかってるけど……」


「なんで?」


「え?」


「なんで詩穂はいっつもそんなに涼しい顔してるの? 高一の時だって、私の好きな先輩に告白されたくせに、私にそのことを言わなかった。心ではざまあみろって笑ってたんでしょ?」


「そ、そんなことない!」


「先輩をフって気持ち良かった? 私に黙ってたのは、自分の方が上だって思ってたからでしょ? 涼しい顔して私を見下して笑ってたんだよね?」


「だから違うって! 見下すわけない。言えなかったんだよ。瑠香の気持ち知ってたから」


「ひどいよ。こんな詩穂のどこがいいわけ?」


「瑠香……」


胸が締め付けられるような感覚が続き、とても苦しい。
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