クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「そんなこと気にする必要はないよ。それより……」


抱きしめていた体を少しだけ離し、覗き込もうとしたら、詩穂ちゃんはサッと顔を逸らした。


「見ないで下さい。涙で……ぐちゃぐちゃですから」


「恥ずかしがらないで」


頬の雫を指でそっとぬぐう。
それでもまだ溢れ出る涙に、俺は彼女の苦しみを一緒に背負ってあげたいと思った。


「すみません。ご迷惑をおかけしました。ちょっとつらいことがあって、拓弥さんの顔を見たらつい……」


「迷惑なんかじゃないから。詩穂ちゃんが悲しい時に俺は何もできなくて……ごめん」


「いいえ。拓弥さんの胸を貸していただいて……すごく安心できました。本当にありがとうございました。クリーニング代は払わせて下さい。本当にすみませんでした」


「……こっちに来て」


「あっ」


俺は、詩穂ちゃんの手を握って奥の部屋に連れていった。


「入って」


「えっ、ここは……」
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