クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
冷たく見えるとはいえ、スーツ姿の桐生さんは、ただ座って電話をしているだけなのにどうしてあんなにキリッとして素敵なんだろう。
形の良い横顔、自然に流れる前髪、細くて長くて綺麗な指、動く唇にも色気を感じる……
いったいこの人のどこに欠点があるというのか。


「詩穂さん、どうかしました?」


「えっ? あっ、航輔君」


「さっきから挙動不審なんですけど」


「そ、そ、そんなことないよ、全然普通だよ。いやだな、変なこと言わないで」


一旦冷静にならないといけない。
昨夜、あんなに優しい笑顔と言葉で挨拶してくれた桐生さんは、今日はまだ1ミリも私と目を合わせてくれない。
意味不明な行動に、さっきから頭が混乱しっぱなしだった。


「桐生課長は本当に素敵な人ですね。さすがは桐生グループの御曹司」
< 14 / 278 >

この作品をシェア

pagetop