クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由～隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる～

「そう言われても困るよ。俺が海外で頑張れたのは、君への想いが自分の原動力になっていたから。だから、『HPJ』本社の勤務が決まった時は、本当に嬉しかったんだ」


俺も、ミルクティーを1口含んだ。
まだ少し温かい。
緊張で乾いていた唇に、少し潤いが戻る。


慣れていないのは、俺も同じだった――


「それに、奇跡はまだ続いた。マンションを契約して部屋に行った時、たまたま隣から出てくる君を見かけたんだ。なぜか咄嗟に隠れてしまって……心臓が止まるかと思った。まさか、君と同じマンション、しかも隣人になるなんて……」


「私、拓弥さんに見られてたんですか！ 知らなかったです。すごく……恥ずかしい」


「隠れるなんて、俺、ストーカーみたいだな。ごめん」


「えっ、そんなことは……」


「君との出会いがここまで続いたら、もはやこれは奇跡ではなく、必然……運命だと思った」


詩穂ちゃんと見つめ合うこの数秒間。
彼女への愛しさが激しく胸を高ぶらせる。