クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由～隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる～

「確かに大根もはんぺんもいいですね。この中にも全部入ってます」


「本当だ。美味しそうだ」


拓弥さんがおでんをお皿に盛り、私に渡してくれる。こんな贅沢なことはない。


「あ、このレシピ……お母さんのなんです。先に言っておきますね」


「浅子さんのレシピ。なら、美味しいに決まってる。それに……詩穂ちゃんが俺のために作ってくれたと思うだけで、食べる前から美味しいってわかるよ」


「……恥ずかしいです。お口に合えばいいですけど」


「いただきます」


拓弥さんは、大根を1口食べて、すぐにうなづいた。熱いおでんは口の中で冷めるまで時間がかかる。


「うん！ 美味しい、最高だ。本当に美味しいよ」


何度もうなづきながら食べてくれる拓弥さんを見て思った。
ああ、この人となら……と。


そのとき、部屋のチャイムが鳴った。


「ん？ 誰だろう……あっ」


「お客様ですね。私、そろそろ失礼しま……」


立ち上がった瞬間、インターフォンに写る顔が視野に入ってきた。