クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「亜里はね。高校時代に知り合った私の友達。高校2年の時、突然ご両親を亡くして……。正直、見ていられないくらい悲しんでた」


「……」


「それでも、失意のどん底から這い上がって料理の道に入って……。そこからとてつもなく苦労して、レストランを経営することができた。そんな彼女への想いに気がついたのは、亜里が高校を辞めた時。高校2年の私には、亜里がいなくなる現実を受け止められなかった。とにかく胸が苦しくて、つらくてどうしようもなかった。勇気を振り絞って亜里に告白したら、彼女も同じ気持ちだとわかってね。すごく嬉しかったわ。そこからは、私があの子を守ると決めたの。もう二度と悲しい思いはさせないって」


「そこまでの覚悟が……」


「私は亜里のためなら何でもできる」


「……僕の想いなんか……城之内さんに比べれば、まだまだですね……」


「そう、広崎君はまだまだこれからよ。仕事も恋も。まだまだこれからなの」


「……城之内さん、僕……」


瞳を潤ませ、私を見つめる広崎君がとてもキラキラして見える。
< 213 / 278 >

この作品をシェア

pagetop