クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
チャーハンを作っても自分は食べずにいたからお腹は空いている。


だけど、そんなことよりやっぱりおかしい。
この人は……今日会社で会った桐生課長?
どう見ても同じ人物なのに、あまりにも性格が違い過ぎる。
ん……もしかして双子とか?
心の中が疑問で溢れる。


「食事の前にすみません。良かったら、部屋に果物を取りにきてもらえますか?」


「えっ? そ、それはちょっと……」


「遠慮なく。さあ、どうぞ」


「えっ、あ、あの、ちょっと」


かなり強引な桐生さんに驚く暇もなく、背中に触れられている事実に頭を支配された。
手のひらの感触がダイレクトに脳に届き、体中の神経を敏感にした。
この感じなら、サッと振り払って逃げることは容易にできる。なのに私はされるがままで、気づいたらすぐ隣の桐生さんの部屋に入っていた。


「どうぞ、リビングに」


ほぼ同じ間取り。だけど、男性1人暮しの部屋に入るなんて初めての経験で、どこをどう見ればいいのか困ってしまう。


何なんだろう、この状況は――
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