クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
何気ないやり取りにときめいて
今日は朝から桐生課長……拓弥さんがオフィスにいる。
不思議だな、それだけで女性達がニコニコしている。


スーツ姿は何度も見て慣れているはずだけど、やっぱりかっこよ過ぎてチラチラ目がいってしまう。
完全に拓弥さんを意識している自分が恥ずかしい。


コピーをして戻る途中、誰かとぶつかりそうになった。勢いで大量の資料をばらまいてしまい、慌てて床に膝をついてA4用紙に手を伸ばした。


「あっ」


香水の優しい香り。
下を向いていてもわかる。この清潔なワイシャツの袖と、細くて長い指は――間違いなく拓弥さんだ。


「大丈夫か?」


「あ、はい。ボーッとしていて、すみませんでした。ありがとうございます」


指と指がほんの少し触れただけなのに、この動悸は何?
今、心臓に触れられたら、激しく騒ぐ鼓動がはっきりと確認できるはず。
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