クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「大丈夫。この部屋、誰もこないから」


「あっ、えっと……」


会社で2人きりになるのは初めてだった。
誰にも見られていないからか、拓弥さんは「普通」に私に接していた。
だけど、やはりこの見た目は決して「普通」ではない。


赤のネクタイをしたスーツ姿の拓弥さんは、あまりにも素敵で何度見ても慣れない。長身で手足も長く、まるでモデルのような立ち姿に惚れ惚れしてしまう。


「突然ごめん。たまたま君を見かけたから」


「いえ、だ、大丈夫です」


こんな状況、大丈夫なわけがない。
必死に冷静を装ってることを、知られないようにしなければ……


「あのさ、俺、ずっと詩穂ちゃんにお願いしたいことがあったんだ。今、言ってもいい?」


「……私にお願い……ですか?」


拓弥さんに何を言われるのか、ものすごくドキドキする。
< 70 / 278 >

この作品をシェア

pagetop