クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由～隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる～

「……俺は今、すごく楽しいよ」


「えっ、あ……はい、私も楽しいです、とても……。でも、たぶん、拓弥さんの『楽しい』と、私の『楽しい』は意味が違うと思います」


「え？」


「あっ、すみません。別にいいんです、何でもないですから。ほら、見て下さい！ ダンスステージの前の広場、ものすごい人ですよ」


自分で言っておきながら、恥ずかしくなって慌てて話を逸らせた。


大きなイベントステージの前は、普段はお客様の自由なくつろぎのスペースになっている。
今日は、イベントが始まるずいぶん前から芝生に座って場所を取っている人がたくさん見受けられる。


「YUKATAでハッピーダンス」を盛り上げるニケダンサーズとの写真撮影の場所も設けられ、後ほど現れるアイドル並みに人気のあるダンサー達との撮影を、心待ちにしている女の子達も大勢集まっている。