クールなイケメン御曹司が私だけに優しい理由~隣人は「溺愛」という「愛」を教えてくれる~
「そうですよね。会社でプライベートな話をしちゃダメですよね~。すみません」


周りの「プライベートって何?」「マンションって、佐和田さんとどういう関係?」「桐生課長、瑠香さんと何かあるの?」なんていうヒソヒソ話が聞こえてくる。


みんな、私と桐生課長の仲を勝手に想像して、何だか優越感に浸れる。


「佐和田さん!」


「えっ?」


「ちょっと来て」


「何ですか? 止めてください」


「いいから来て」


腕を掴んで私を部屋から無理やり連れ出したのは、城之内 沙織さんだった。


「何なんですか、いきなり」


「佐和田さん。あなた、桐生課長のプライバシーを好き勝手にみんなに言いふらさないで」


「城之内さん、わざわざ奥の秘書室から出てきて課長のSPですか?」


このフロアの奥の秘書室には、数人の秘書達がいて、必要な時にそれぞれの重役に着いて仕事をしている。
私と桐生課長との会話が聞こえるわけじゃないのに、タイミング良すぎて笑える。
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