彼はチョコレートの香り


「私でいいんですか?」

不安げに聞いた私に

「もちろん。早苗ちゃんがいいな。俺も。」

と笑顔で答えてくれた。

私は真っ赤になった顔を隠すようにうつむいた。

「じゃぁ、俺はもういくね?次移動教室なんだ。」

「はぃ。ありがとうございました。」

頭を下げてあげたときには佐藤先輩の背中は遠くにあった。

冬の冷たい風がわたしの頬を優しく冷やしてくれた。





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