【受賞】ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
「おなかすいたただろ」
 言われた直後、返事をするようにお腹が鳴った。

「すみません……」
 恥ずかしくてうつむくと、彼はくすくすと笑う。

「久しぶりの日本だ、うまい店に行きたい。すしとかどう?」
「おすしは好きですけど……回転ずしとかにしてくださいね」
 やたらと高いところへ連れていかれたら今月の生活費が大変なことになる。

「日本なら回転ずしでもあっちよりうまいだろうな」
 京吾はタクシーを止めるべく手を上げた。



 おすしをおなかいっぱいに食べたあとは、服をクリーニングに出し、京吾に頼まれて街を観光案内した。
 彼に手を繋がれて公園を散策し、花を観賞し、街を一望できるタワーでは海に沈む夕景に見とれた。

 夕食も一緒にと誘われ、お手軽な価格のイタリアンレストランでパスタセットを食べた。

 まるでデートみたい。
 帰り道を駅に向かいながら、柚花は胸を押さえる。

 火曜日の夜のせいか人通りはなく、カンテラのような外灯が並ぶ道は二人の花道のようだった。

 軽く飲んだワインのせいもあって、心臓はとくとくと鼓動を早めている。
 かつて好きだった京吾とデートのような一日を過ごせたことが素直に嬉しかった。

 いい思い出ができた。
 柚花はうれしくて京吾を見上げる。
< 37 / 100 >

この作品をシェア

pagetop