【受賞】ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
 さぼっていても佐島は強く注意することはなく、自分の実績が評価されているのだと萌美は思っていた。

 副店長として柚花が来てからは、そうはいかなくなった。
 彼女は口うるさく萌美を注意してくる。雑音として処理できるレベルを超えて騒音だ。

 伯父の進になんとかしてくれと言ってもなにもしてくれない。
 家にいるときにはかわいがってくれているというのに。仕事に関しては、お店の人の言うことをよく聞くように、とむしろ注意されることがあった。

 こんな仕事辞めてしまいたい。だが、ただ辞めるのでは両親にまた口うるさく言われてしまう。結婚でもすればいいだろうか。だが、自分を養ってくれるに値するいい男でなくてはならない。

 そう思っていたとき、彼女が憲士とつきあっているのを知った。
 憲士はこのデパートでは優秀と言われているし、結婚相手として申し分ない。

 柚花への嫌がらせにもなって一石二鳥だ。
 絡めとるように憲士を落とし、手に入れた。

 さぞかし悔しがるだろうと思ったのに、あっさり別れたのは意外だった。それでもあの女のものを奪ってやったと思うと爽快だった。

 そう思っていたのに、憲士よりもイケメンな京吾が現れた。

 全国どころか海外にも展開する宝石店の優秀なエリート。有名ブランド店が立ち並ぶニューヨーク五番街の支店を成功に導いたという。

 日本だけにしかないデパートの従業員より、京吾のほうがいい。
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