警察の極上プロファイラーが実験と称して私を溺愛してくる
 食事を終えて会計をしようとしたときだった。
「今日はありがとうございます。私が出しますから」

 小夜歌は財布を取り出した。彼はなんの役にも立たなかったが、駆けつけてくれたのだし、相談にも乗ってくれた。自分が出すのが礼儀だろうと思ったが、彼は拒否した。

「俺は警察官だ、奢るのも奢られるのも許されない」
「私の都合でこんなことになってるのに」

「完全な割り勘だ。それ以外は認めない」
「……わかりました」
 頑固で面倒な人だな、と思いながらレジの人に頼んで別会計にしてもらった。

 店を出ると、真っ暗になった空を見上げてから彼は言った。
「今日は家まで送る。脅迫メールのあとでは不安だろう」
「いいんですか?」
 正直、ひとりで帰るのは怖いと思っていた。意外に親切だ、と感心した。

 ふたりでの帰り道は会話がはずまず、小夜歌は気まずい思いをした。が、真玄はまったく平然としていて小憎らしい。この人が慌てたり怒ったりすることはあるのだろうか、と疑問にすら思う。

「着きました。ありがとうございます」
 アパートに着いた小夜歌はほっとして彼に言った。
「危険だな」
 アパートを見た彼はそう言った。

「どこがですか?」
 小夜歌は首を傾げる。ごく普通の軽量鉄骨の二階建てアパートだ。
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