警察の極上プロファイラーが実験と称して私を溺愛してくる
「ないです……」
「では犯人の映像は期待できないな。一応所轄に連絡して鑑識も呼ぶか」

「鑑識って、そんな大事……」
 テレビドラマの青い服を着た人たちを思い浮かべ、小夜歌は戸惑う。

「器物損壊罪は親告罪だ。君が嫌なら呼ばない選択肢もある。が、呼んだほうがいいと思うぞ」
「待って、そんな急に決められない、待って……」
 真玄はスマホを取り出し、玄関のドアとその前にちらばるタバコの吸い殻を撮影した。

「鑑識でなくても警察を呼ぶぞ。ここで呼ぶかどうかで今後の警察の対応も変わる」
 彼は返事を待たずにスマホで通報した。

 その後、彼が玄関で見張ってくれている状態で部屋の確認をする。室内には入られていないようで、なにも変化がなかった。

 しばらくして原付に乗った警官がふたりで来た。真玄は警察官の身分を明かした上で話をする。警官は小夜歌にも状況を確認した。
 真玄がストーカーのことなどある程度を話してくれたおかげで、小夜歌は最低限の聞き取りで済んだ。

「被害届は考え中だそうだ。しばらくはこの辺りのパトロールを強化してほしい」
「了解しました!」
 制服警官の二人はピシッと答え、帰って行った。

「さて、もう一度言う。俺の部屋に来い」
「……もうそれ命令じゃない」
 小夜歌の小さな抗弁に、真玄はくくっと笑った。

「意外に元気そうだな。ひとりでも大丈夫か?」
「ま、待って! なんで結論を急ぐのよ」
 動揺した小夜歌からは敬語が消えていた。だが、それに気付くゆとりなど彼女にはなかった。

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