警察の極上プロファイラーが実験と称して私を溺愛してくる
 退職のことは、その日が来るまで主任には言わないでほしいと口止めした。
 有給申請と退職届のフォーマットはメールでスマホにもらい、近くのコンビニで印刷してから記入して郵送した。

 洗濯機を借りて洗濯を済ませ、どうしようか、と思う。
 物置化している部屋の本は好きに読んでいいと言われていたので、見に行った。

 まるで書庫だった。壁に沿って並ぶ本棚にマンガも実用書も小説もずらりと並んでいる。
 マンガは子供向けから大人向け、男性向けも女性向けもある。小説もあらゆるジャンルが揃っていた。哲学書も心理学の本もあり、バイクや車の本、動物の雑学、編み物の本もあった。

「なんでこんなに……プロファイラーだから資料なの?」
 思わず呟きが漏れる。
 少女漫画を手に戻り、リビングのソファに座って読んだ。

 が、次第に落ち着かなくなる。
 仕事もせずに他人の家でなにをしてるんだろう、とそわそわと部屋を眺めた。
 部屋の家具はどれもモノトーンで無駄がなくすっきりしていて、彼の性格を表しているようだった。

 掃除くらいしたほうがいいんだろうか。
 料理はどうだろう。隣に高級スーパーがあるのは見たが、作るなら材料を買って来なくてはならないだろう。
 玄関の指紋認証登録は済んでいるから外出しようと思えばできるのだが、なるべく外に出ないように言われている。

 迷って、結局メッセージで尋ねた。
『なにかやっておいたほうがいいことはありますか』
 しばらくして、返事が来たので確認する。
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