警察の極上プロファイラーが実験と称して私を溺愛してくる
 疲れ果てている彼に、愛しい気持ちが湧いてしまった。
「違うから。あれは……そう、母性本能的な」
 母性本能は科学的に証明されていないとされているが、あえてそう呟いてみた。
 芽生えつつある感情には、気づかないままでいたかった。





 翌日から、彼は帰って来なくなった。
 警察署に泊まり込みで捜査をしているのだという。
 日々事件は起こり、通り魔だけではなく同時にいくつもの捜査を並行しているとも聞いた。

 家でじっとしているのも限界がある。掃除をしたり洗濯をしたり、本を読んだり。
 スマホで求人を見ているときに、つい彼のマンションの近くで仕事を探してしまい、そんな自分に驚いた。

 なんで住み続ける前提で仕事を探しているの。
 恥ずかしくていたたまれなくなるが、幸いにもひとりなので悶える姿を誰にも見られずにすんだ。

 しかし、住所を限定せずに探そうとすると、なんだかそれも居心地が悪かった。
 ついつい自分に言い訳をして、良さそうな仕事にも応募ができずに閉じてしまう。

「私って、こんなやつだったんだ」
 自分ではもっとしっかりしているつもりだった。
 前回の転職では仕事内容、給料や待遇などもろもろをきちんと確認してから応募していた。

 なのに今は。
 彼の言葉に甘えたい気持ちがわいてきて、止められない。

 いや、甘えたいのは言葉にではなくて……。
 彼の笑顔が頭に浮かび、小夜歌は頭を抱えた。
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