警察の極上プロファイラーが実験と称して私を溺愛してくる
 涙声で言うと、真玄はさらにぎゅっと小夜歌の頭を抱え込む。
「それでも、だ。俺が君を守ると言ったのに」
「ちゃんとストーカーからは守ってくれたもの。約束は守ってくれたわ」

「……君は優しいな」
 真玄に頭を撫でられて、小夜歌は彼に頭をもたせかけた。彼の温かで優しい感触は、波だった心を静めてくれるかのようだ。

「あなたは……思ったより優しいのね」
「心外だな」
 真玄が言うと、ふふ、と小夜歌は笑いをこぼしてから彼を見上げた。

「……私、犯人を見たわ」
 その言葉に、真玄は膝をついて彼女と目線を合わせる。

「どんな外見だった?」
「なんだか大きな人だった。大きなナイフで、怖かった」

「どんなナイフだ?」
「刃の部分がぎらぎらしてて……ごめんなさい、よくわからない」

「男の外見は覚えているか?」
「あんまりよくは覚えてなくて……確か黒い服で、黒い帽子を被ってサングラスとマスクをしてた」

「凶器注目」と言う現象がある。凶器を持った犯人に襲われた場合、犯人を見ていても凶器のほうが強く記憶に残ってしまい、犯人の顔を覚えていないことがあるのだ。

 また、被害者は恐怖によって犯人を実際より大きく見積もって答えることがある。実際には彼女の印象ほど大きくはないだろう。
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