警察の極上プロファイラーが実験と称して私を溺愛してくる
「襲われた場所は?」
「駅に近い歩道。悲鳴を上げたらすぐに人が来てくれて、それで犯人が逃げたの」
「……違うな」
 思わず呟きがこぼれ、真玄はすぐに口を閉ざした。

「なにが?」
「いや、なんでもない」

 これまでの犯人はもっと遅い時間に人通りのない住宅街の生活道で襲っていた。身長の特徴点も違っているが、それを言うと目撃情報を誘導してしまう可能性があるから伝えるわけにはいかない。

 目撃者に尋ねるとき、警察官の聞き方ひとつで証言の方向性が変わってしまうことがある。違うな、ともらしたのは真玄にとってありえない失敗だった。

「どう違うの? 私が見間違えたのかな」
「自分の記憶を捻じ曲げてはいけない。ただでさえ人間の記憶というのはあやふやなものだ」

 事件後に見聞きした情報のせいで記憶が改変されることがある。事件現場で見た人物とは違う人物を犯人だと思い込んだり、実際とは違う色の車を見たと証言したりすることもある。

「だが、両方を是とした場合、犯人がふたりいることになる」
「通り魔が、ふたりも……? あ、模倣犯?」

「そうじゃない。ストレートに考えれば君を襲ったのはストーカーだ」
 言われて、小夜歌は顔をひきつらせた。

「まさか、そんな……」
 いくらなんでも、普段顔を合わせていた人が自分を殺そうとしただなんて思いたくなかった。
「ストーカー被害に遭っていたことはさっきの刑事に言ったか?」
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