警察の極上プロファイラーが実験と称して私を溺愛してくる
「その問いかけは正しい」
 彼の声はどこか嬉しそうだった。

「基本的には捜査で得られたものを是としているが、ときには立ち止まって考えなくてはならない。データから割り出した犯人が必ずしも正しいとは限らない。先入観かもしれない、という疑いは常に持たなくてはならない。証拠は正しいのか、偽造ではないのか。科捜研の分析は間違っていないのか。その上で検討し、犯人を追い詰める。だが」
 言葉を切った彼を小夜歌はミラー越しに眺める。彼の目が微笑み、ちらりとミラーの小夜歌を見た。

「こういうときにもそういう考察ができるところがいいな」
「褒められた……のよね?」
「当然だ」
 断言する彼に、小夜歌はどきどきと胸を押さえた。

 車は順調に進み、マンションに到着する。
 自室まで送ってくれた彼は、すぐに警察署に戻ると言う。

「ごめんね、仕事が大変なのに」
 謝る小夜歌の頭を、彼はぽんぽんと撫でるように叩く。

「気にするな。これも仕事だ。むしろ君に会う時間ができて良かった」
「ほんとごめん。私、出て行くから」

「なんでそうなるんだ」
 彼は小夜歌の両肩に手を置く。顔を覗き込まれ、彼女はとっさに目を逸らした。

「だって、迷惑でしょ。邪魔になってしまう。あなたが言ったように、さっさと引っ越しするべきだった」
 悔しさにぎゅっと唇をかむ。
 そうしていれば、きっと今は新天地で新しい人生を始めていただろう。今日のような恐怖もこんな苦い気持ちも味合わなくて済んだのに。
 ふいに真玄に抱きしめられ、小夜歌は息を呑んだ。
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