警察の極上プロファイラーが実験と称して私を溺愛してくる
 くぐもった声はどこかで聞いたことがあったように思うが、それよりも内容に衝撃を受けた。
「すぐに降りて来てください。ご案内します」
「行きます!」
 小夜歌はスマホだけを持ち、上着を羽織って玄関を出た。オートロックで閉まる音を背に、ばたばたと廊下を走る。
 エントランスの自動ドアを出ると、いるはずの警官は姿を消していた。

「え? なんで?」
 きょろきょろと見回し、数歩前に出る。

 そういえば、あの警官は「恋人が」と言っていた。
 不自然ではないだろうか。普通なら人名を伝えるだろうし、そもそも自分と彼がつきあっていると思っているのは平世だけのはずだ。

 と思ってから気がついて血の気が引いた。真玄と自分がつきあっていると思っている人物は、もう一人だけ、いるはずだ。

 早く帰らなくちゃ。
 思ったときには遅かった。

「動くな。動くと刺す」
 声とともに、人が真後ろに立つ気配があった。
 小夜歌は立ちすくんだ。聞き覚えのある早口のこの声は、まさか。

 そっと後ろを窺うと、警察のような制服が見えた。
「そのまま歩いて車に乗れ。逃げようとしたらすぐに殺す」
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