警察の極上プロファイラーが実験と称して私を溺愛してくる
 ぐっと背中を押され、言われるままに歩いて正面の黒い軽に助手席側から乗りこむ。席はベンチシートで、男に指示されるままに運転席に移り、シートベルトを締める。
 助手席に乗った男を嫌悪とともに見る。
 制帽を取った男は、まぎれもなく浦岡だった。警察官のような服を着ているが、よく見ると微妙に違う。

「お前が警官が好きだというから、警察の服を買って、着てやったぞ」
 得意げに浦岡が言う。

 警官が好きだなんて一度も言ったことないのだが、真玄が警官だと名乗った上でつきあっていると宣言したことで浦岡の中でそういう結論になってしまったのだろう。

「スマホをよこせ」
 ナイフをつきつけられて、小夜歌は仕方なくスマホを渡した。

「なんで俺から逃げやがった?」
「なんでって……」
 結局、この人は根本的になにも理解していないのだ、と気がついてぞっとした。

「せっかく俺がお前とつきあってやるって言ってるのに」
「無理しなくていいです」
「お前の癖に逆らうな! メールも無視しやがって!」
 怒鳴られて、小夜歌はびくっと震えた。自分で迷惑メールフォルダを見てないから知らなかった。あきらめていなかったのだ、とわかって絶望する。

「お前のせいで、警察が来たぞ」
「わ、私のせい……?」

「お前が素直にならないのが悪いんだろ。怖い思いをすれば素直に俺を頼ると思ったのに」
 これは、暗に小夜歌を襲ったのは自分だと認めていることになるのではないだろうか。
 警察が来たのは小夜歌を襲った件での訪問だろう。
 そうして、彼は警察から逃れて今ここにいる。
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