警察の極上プロファイラーが実験と称して私を溺愛してくる
 小夜歌は絶望とともに、車を走らせた。
 未練がましくミラーを見ると、バイクが転回してこちらへ走ってくるのが見えた。

 気づいてくれたの!?
 期待して車の速度を落とすが、警察官がこの車を止めようとする気配はない。
 そのうち黒い車が間に入り、警官の運転するバイクはどこかへと消えて行った。

 転回したのはただの偶然だったんだ。
 悟って、小夜歌はまた絶望した。

「スピードが落ちてるぞ」
 言われて、小夜歌はアクセルを踏む。
「もっと出せ!」
 言われて、さらに踏む。スピード違反をしたら警察が捕まえてくれるだろうか。だが、そんな都合よくパトカーに遭遇するとは思えない。

 頭に浮かぶのは真玄だ。彼があんなに気をつけろと言ってくれていたのに。
 彼が事故に遭ったと言われてあっさり騙されてしまうなんて。

 だが、それほど彼の存在が大きくなっていたのだと、深く気づかされる。
 真玄が自分の窮地に気付いてくれないだろうか。
 ありえないことなのに、どうしても頭に浮かぶのは真玄のことばかりだ。

「どうしてあのマンションがわかったの?」
 思考を振り切るように小夜歌はたずねる。
「あれはな、お前の送って来た退職届の消印から探したんだ。頭がいいだろう」
 得意げに浦岡が言う。
< 68 / 87 >

この作品をシェア

pagetop