警察の極上プロファイラーが実験と称して私を溺愛してくる
「心外だな。敬意を表しているだけなんだが」
 真玄はさらにじわりと近づく。

「近寄るな! お前がそんな奴じゃないことはわかってるぞ!」
 浦岡がナイフを持った手を伸ばし、まっすぐに真玄を指さす。
 刹那、真玄は浦岡の手を蹴り飛ばす。ナイフは宙を舞い、からん、と地面に落ちた。

「なに!?」
 動揺した浦岡の腹に真玄が拳を叩きこむ。浦岡は「う!」と呻いて体をくの字に折り曲げた。
 小夜歌はその隙に腕から逃れた。すぐに警官に取り囲まれ、保護される。

 真玄は浦岡を地面にねじ伏せて腕をひねり上げ、自身の腕時計をちらりと見る。
「23時31分、監禁罪で現行犯逮捕(げんたい)。あとの罪はおいおいだな」

「離せ!」
「離すわけないだろ。あとな、さっき言ったのは全部嘘だ。お前のそれは純愛なんかじゃない、汚い欲望だけだ」

「くそ!」
 浦岡はもがくが、手錠をかけられて立たせられる。何人もの警察官に取り囲まれ、逃げ道はない。

 遠くからパトカーのサイレンがいくつも響いた。この現場に向かっているのだろう。
 浦岡を平世に引き渡し、真玄は小夜歌の前に立つ。
 小夜歌のそばにいた警官は真玄に頭を下げて離れた。

「ケガはないか?」
 真玄の問いに小夜歌は頷く。彼は浦岡が彼女からナイフを離す瞬間を狙うために話しかけていただのろう。そうして彼女を助けてくれたのだ。
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