眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛
(私はいつからこんなに弱くなってしまったのかしら……それとも、強いと思っていた自分は、強がっていただけ?)

 自分を抱きしめたまま静かにため息をつくが、そのため息すら微かに震えている。

(ヴェルデ様はどうしてあんなに、悲しそうに辛そうに、怒っていたのかしら)

 ベッドの端に座りながら、窓の外の月を見つめながらヴェルデのことを思う。ヴェルデの様子がおかしくなったのは、エルヴィン殿下の末裔であるイヴが現れてからだ。

(……きっと、エルヴィン殿下に瓜二つのイヴに動揺していた私のせいなのよね)

 エルヴィン殿下と瓜二つ、しかも声まで似ているのに、性格は全くの正反対なイヴ。そんなイヴにローラは明らかに動揺していた。しかも、そんな相手に、自分の命は百年前から今までずっとエルヴィン殿下の末裔たちに命を狙われ続けていると告げられたのだ。

(イヴだって、私のことを恨んで命を狙ってもおかしくないはずなのに、自分でイライザから掛けられた末裔への呪いを解こうとしている。強い人なんだわ)

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