眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛

「お前ごときの魔術師に俺の気配を見破れるとでも？ヴェルデに拾ってもらったからといって調子に乗るなよ」

　嫌悪感丸出しの顔でフェインを見ながらクローは言葉を続ける。

「お前みたいな男がなぜヴェルデの側にいてヴェルデと一緒に仕事をしているんだ？ちょっと魔法に秀でているからって勘違いされては困るな、三流が。いや、三流にも満たないか」
「何だと……！」

　フェインがクローを睨みつけた。普段感情を表に出さないフェインも流石に怒っている。

「お前はヴェルデの力になりたいと言いながら本当はヴェルデの才能に嫉妬してる。そして自分は本当はヴェルデに必要ないのではないかと不安なんだ、図星だろ？」

　冷笑しているクローにフェインは挑発に乗らないよう拳を強く握りしめて耐えていた。

「おい、その減らず口を今すぐ閉じろ。フェインを馬鹿にするのは俺が許さない」

　ヴェルデがクローへ言うと同時に、クローの頬を風の刃が勢いよく通り過ぎた。クローの頬に傷口がつき、一筋の血が流れる。

「ははっ、俺の顔に傷をつけられるのはあなたくらいですよヴェルデ」