眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛
「もちろん、なぜ百年も眠り続けることになったのか、詳しいことは伏せる。だが、隣国の眠り姫だったことを公表し、その上で俺が直々にローラ嬢を認めたのだとみんなの前で宣言すれば、とやかく言ってくる連中は黙るだろう」
「ですが、それはティアール国が許さないのでは?あちらの国でローラ様のことは王家の一部の人間しか知らないことになっています」
「ローラ嬢はお前と結婚した。もう立派にこの国の人間だ。それに、ティアール国でもローラ嬢について完全に隠すことはできなくなっているそうだ。この件についてメイナードには了承を得ている」
「メイナード殿下に……!?」

 メイナードの名前が出てきて、ヴェルデは驚いた様子でガレスを見る。まさか、メイナードが了承しているとは思わなかったのだ。

「ローラ嬢。あなたにとってこれは酷なことかもしれない。だが、この国で生きていくと決めた以上、決断してもらわなければ困る。いつもどこかで疑いの目を向けられ探りを入れられ続けるか、公表して堂々とこの国の人間として生きていくのか。どちらがいい?」

 ガレスはローラの顔をじっと見つめて尋ねた。そのガレスの瞳を、ローラは真剣な眼差しで見つめ返す。そこには怯えた様子はどこにも見当たらない。そして、ヴェルデを見て口を開いた。

「私は、この国でヴェルデ様と共に堂々と、穏やかに生きていきたい、ただそれだけです。そのために必要なのであれば、過去を公表することも厭いません。もちろん、ヴェルデ様がそれを良しとするなら、です」

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