眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛
ガレスがそう言ってヴェルデとローラを手招きする。ヴェルデはローラをエスコートしながらガレスの側へ立った。
「私の愛する妻、ローラです。出身は隣国ティアールですが、婚約を機に私と一緒にこの国で暮らしています」
ヴェルデがそう言うと、ローラは静かに微笑んでドレスを優しく掴み、ふわりとお辞儀をする。ひとつひとつの動きは洗練されており、やはりその所作は見事なもので、会場の誰もが目を奪われ感嘆のため息があちこちから聞こえてくる。
「隣国ティアールの出身と伺いましたが、奥様についてひとつお聞きしてもよろしいかな、筆頭魔術師殿」
会場にいた中年の貴族が一人、突然声を上げる。ヴェルデは一瞬警戒する表情を見せたが、すぐにいつも通りの表情になり、小さく頷いた。
「貴殿の奥様について、妙な噂を耳にしたのですよ。奥様は隣国で百年もの間眠り続けていた当時の姫君で、この国に来てから、奥様を狙う人間がこの国に入り込んでいる、と」
貴族の言葉に会場内がざわめく。だからあんなにも所作が美しいのか、という声まで聞こえてきた。
「しかも、隣国だけではなく他の国からも奥様を狙う人間がいたとか。そんな人間が国内にいたとなれば問題ではありませんかな?それに、今後もそのようなことがあれば物騒なこと、我々としても国そのものが心配でなりません」
「それに、奥様が隣国のスパイという可能性もありますな。この国に入り込む口実として奥様を狙っていることにする、とか」
「私の愛する妻、ローラです。出身は隣国ティアールですが、婚約を機に私と一緒にこの国で暮らしています」
ヴェルデがそう言うと、ローラは静かに微笑んでドレスを優しく掴み、ふわりとお辞儀をする。ひとつひとつの動きは洗練されており、やはりその所作は見事なもので、会場の誰もが目を奪われ感嘆のため息があちこちから聞こえてくる。
「隣国ティアールの出身と伺いましたが、奥様についてひとつお聞きしてもよろしいかな、筆頭魔術師殿」
会場にいた中年の貴族が一人、突然声を上げる。ヴェルデは一瞬警戒する表情を見せたが、すぐにいつも通りの表情になり、小さく頷いた。
「貴殿の奥様について、妙な噂を耳にしたのですよ。奥様は隣国で百年もの間眠り続けていた当時の姫君で、この国に来てから、奥様を狙う人間がこの国に入り込んでいる、と」
貴族の言葉に会場内がざわめく。だからあんなにも所作が美しいのか、という声まで聞こえてきた。
「しかも、隣国だけではなく他の国からも奥様を狙う人間がいたとか。そんな人間が国内にいたとなれば問題ではありませんかな?それに、今後もそのようなことがあれば物騒なこと、我々としても国そのものが心配でなりません」
「それに、奥様が隣国のスパイという可能性もありますな。この国に入り込む口実として奥様を狙っていることにする、とか」