眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛
「ものすごい口説き文句だな」
「これではヴェルデもイチコロなわけだ」
「全く、二人には敵わないな。ご馳走様」

 三人の言葉が耳に入るか入らないかの内に、ヴェルデはローラをぎゅっと抱きしめていた。

「ローラ、愛してる。そうだね、俺がどんな時だってローラを守る。だから大丈夫だ」
「……はい!」
「それじゃ、了承は得たということでいんだな」

 ガレスの質問に、ヴェルデとローラは力強く頷いた。それを見てガレスはニッと口角を上げると、会場の中央まで足を運ぶ。

「本日はお集まりいただき感謝する。主催のガレスだ。堅苦しい挨拶は抜きにする。俺がそういうの苦手だってことは知っているだろ?」

 その言葉に、会場内からはクスクスと控えめだが楽しげな笑い声がする。ガレスはこの国の第一王子だが、誰に対しても気さくで、堅苦しいことが嫌いなことが国内でも有名だ。

「よし、それじゃ手っ取り早く話を進める。今回この場を設けたのには理由がある。我が国の筆頭魔術師、ヴェルデが婚約を経て結婚した。そこで、ヴェルデの妻、ローラをこの場できちんと紹介したいと思ってのことだ」

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