ロマンスに心酔



せんぱいの心地良い運転に微睡む。

アンノンの曲がかすかに聞こえてきて、頭の中で歌う。

そのまま浅い眠りに落ちていたようで、気づいたときには家に着いていた。


「着いたよ。上がれそう?」


「ん、はい⋯⋯あ、ありがとう、ございました」


「荷物もつから一緒に上がるよ」


「あ、りがと、ございます」


車をアパートのそばに停めて、せんぱいが荷物を持ってくれる。

ゆっくりと後部座席から降りたわたしに、掴まりな、とせんぱいが腕を差し出してくれるので、ありがたくそっと巻きついた。


「あ、かぎ、かばんの、」


「ん、出せそう?」


「あ、りました」


オートロックを開ける。
いつもはポストも覗くけれど、そんな力は残っていないので階段へ直行。


「平気?ゆっくりでいいからな」


「ん、はい、」


一段ずつゆっくりと上る。

すぐに息が切れてきたけれど、せんぱいが横で頑張れ、あとちょっと、と応援してくれるので、何とか上りきれた。

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