ロマンスに心酔
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迎えた次の日。
きのうの決意通り、何とか定時で上がれそうだ。
───“おつかれ。定時いけそう?”
“はい、もう上がれます!”
───“了解、エントランスで待ってる”
最後の業務を終え、パソコンの電源を落とす。
ばたばたと帰る準備をし、フロアに挨拶をしてからお手洗いに寄り、リップだけ塗り直してエントランスに向かった。
エレベーターから降りた途端、ひときわ輝いている男のひとが目に入る。
「(せんぱいだ⋯⋯)」
いざ姿を見ると緊張が最高潮に達する。
トートバッグの持ち手をぎゅっと握り、ひとつ息を吐いてから声をかけた。
「お、またせ、しました⋯⋯!」
「おー、おつかれ。行こ」
言いながらさらりと左手を取られ、そのままつながって指を絡められた。
手汗が止まらない。
連れられて、よたよたと歩き出す。
「⋯⋯そんな緊張されたら移るんだけど」
「う、ご、めんなさい⋯⋯」